海外販売店や海外パートナーを開拓する方法

「海外販売店を開拓するにはどうすれば良いか」、「海外パートナー探しを支援して欲しい」といったご相談が増加しておりますが、国境を意識しないグローバルな事業構想が当たり前になりつつある今日、この傾向は益々増加の一途をたどると推測されます。

ジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)が海外ビジネスに関心の高い企業を対象に毎年実施するアンケートでも、主たる課題に「海外ビジネスを担う人財」、「海外の制度情報(関税率、規制・許認可など)」、「現地市場に関する情報(消費者の嗜好やニーズなど)」に並んで、「現地でのビジネスパートナー(海外販売店等の提携相手)」が挙げられていることからも、海外販売店や海外パートナーの開拓がいかに海外ビジネスの成否の鍵を握るかがお判りいただけると思います。

※「海外パートナー」とは、自社商材の販売店・代理店、材料や資材の仕入先、生産や加工の委託元、合弁相手、FC契約先、会計士・弁護士・コンサルタント等の支援元、ビジネスプロジェクトの協働メンバー、etcを含みます。

海外販売店や海外パートナーを開拓するためのインフラの整備

海外販売店や海外パートナーを見つける契機は様々です。

  • 自社サイトやSNS、登録マッチングサイト等を経由した引き合い
  • 商品やサービスを利用した訪日外国人からの引き合い
  • 日本国内の取引先の紹介や、その取引先がそのまま海外でもパートナー化
  • 展示会、見本市、商談会、異業種交流会等で面談し意気投合
  • 雇用していた外国人の帰国に伴うパートナー化
  • ジェトロ等の公的支援機関や民間のコンサルタント、支援企業等の仲介

上記の通り、海外販売店や海外パートナーの開拓には、まずは自社のサービスや商品の情報発信が不可欠で、段階ごとに次の実行例をお取り組みの参考にしていただければ幸いです。

・会社案内やサービス・商品案内の他言語化

自社のサービスや商品を他言語で情報発信するための事前準備です。 自社の強みは何なのか、数ある商品の中から最も競争力があり海外展開に相応しいものはどれなのかを整理します。 そして整理した情報を海外に発信するために他言語化を図ります。 言語は世界的に汎用性の高い英語は必須ですが、ターゲット市場の状況に応じて判断します(例、中華系住民の多いシンガポール対象であれば、英語+中国語(簡体字)etc)。

・情報発信体制の内部整備

インターネットを利用して世界中の企業やバイヤー、消費者等の目にとまることを期待してウェブサイトを整えます。 商談時にも自社の会社案内、サービス・商品の説明に活用もできます。 但し、対象市場に応じた言語の選択、現地SEO対策、デザインや色彩等の工夫、用途の提案等が不可欠で、B2C小売業の場合、販売・決済機能の要不要、商品の納品手段、保険付保等も予め定めておく必要があります。 不特定多数への拡散方法として、Facebook、Twitter等のSNSの利用も有益です。 また当然、他言語で継続的なコミュニケーションのとれる人財の選定、社内体制の構築も同時に必要となります。

・各種ビジネスマッチングサイト、ポータルサイト、越境ECサイトへの登録

他言語化や内部整備ができれば、自社運営以外のサイト等にも登録して積極的に情報発信をおこなっていきます。 無料・有料の様々なサイトがありますので、自社の展開状況等に応じて選択します。 B2B取引の引き合いではサンプルの提供、小ロットへの柔軟な対応も有効で、内容によっては実際に面談しての商談、相手企業の信用調査等も必要です。
(B2C例)amazon、ebay、Lazada、天猫など
(B2B例)アリババ・ドットコム、KOMPASS、香港貿易発展局DB、ジェトロTTPP、ジョグテックなど

海外販売店や海外パートナーの開拓手順

情報発信体制が整ったら、次に打つ手は候補企業の探索とPUSH型働きかけです。 具体的には海外販売店や海外パートナー候補企業を何らかの手法でリストアップして取引を打診するなど、自らが積極的に商談を働きかけます。

1.海外販売店や海外パートナー候補企業条件の仮説をたてる

対象国・都市、業種業態、取扱い品目、代表者情報、従業員規模、株主構成、売上高等の財務情報、etc. 自社がどのような海外企業と取引きをしたいのか、自社のサービスや商品がどのような海外販売店や海外パートナーを必要としているのかを考え仮説を構築します。但し、企業の公開情報には限りもありますので次のリストアップ時には留意が必要です。

2.条件に見合う企業のリストアップ

在日外国投資促進機関、各種企業DB・ダイレクトリー、商工会や業界団体等の各種名簿、業界誌情報、職業別電話帳等を活用して候補企業のリストアップを実施します。 仮説の条件をもとに候補を抽出してリストアップした最初のものをロングリスト、ロングリストから更に一定の条件をもとにベスト5とか6とかに絞り込んだものをショートリストといいます。 古いDBや名簿の情報では既に移転している、廃業している等々も混在しますので、それらを篩にかけることをスクリーニングといいます。

3.厳選した候補企業への働きかけ

最も低コストで時間短縮が可能な手法としてDM(eメール、FAX、郵送等)が挙げられますが、DMの平均的な反応率は不特定多数を対象としたDM・チラシ⇒0.5~1.0%程度/FAX DM⇒ 0.1%程度という統計も出ていますし、ましてや見知らぬ外国企業名で会社の代表メールアドレスに入るe-mailだったら??
やはり、直接の担当者や決定権者を確認し、その方に会社情報や商談ツールを直接お届けし、お届け後に再度電話等で一読確認と意向確認を実施。 興味を示す相手には次の具体的商談資料を送付するか、商談アポイントをとり、対面又はオンラインで詳細説明(サンプルや試供品あれば提供)をする等の手順を踏む必要があります。 更に現地の言葉で、現地時間感覚で、現地の商習慣にもとづいて実行できれば最も効果的です。
簡単そうに見えて難しいのがやはり相手のあるこの働きかけです。 なるべくコストや労力をかけず、最短時間で海外販売店や海外パートナーを開拓したい、というお気持ちは判りますが、手を抜いて簡単に成果が得られるものではありません。 自社のサービスや商品に関する優位性を熱意をもって伝え、最低限の費用や手間をかけるべきといえましょう。

海外販売店や海外パートナーの開拓サポート

当社では、お客様の社内状況やご要望に合わせ、海外販売店や海外パートナーの開拓業務のサポートをご提供しております。 例)リストアップした企業情報をエクセル表にして納品 例)リストアップした企業にアポイントを取得し、現地在住スタッフが商品カタログやサンプルを持参して営業代行やマーケティング調査を実施してお客様へフィードバック 例)お客様の現地訪問やオンライン商談に合わせてリストアップした企業からアポイントを取得し商談をアレンジ

海外販売店や海外パートナーの開拓サポート例は以下の図をご参照ください。

但し、当社は販路を開拓してお客様の商品を自ら販売してマージンを得る商社ではありません。
当社はあくまでお客様の事業としての海外展開でお客様が必要とされる項目のサポートをさせていただくに過ぎません。海外販売店や海外パートナーの開拓業務をきっかけにめぐり会えたお相手を見極め、商談が成立し、永続的な信頼関係を築いていけるかどうかは、やはりお客様次第だと考えます。

その他の開拓手段

海外見本市・展示会への出展、商談会への参加も大変有効な手段です(オンライン開催分含む)。 これらの出展には旅費や出展料という費用が発生しますが、関係業界のメーカーやバイヤーが集まる見本市・展示会は短期間で事業の方向性に対する収穫が得られ易い最適な場です。 特に、写真や文字でその良さが訴求できにくい商材、商品を実際に目で見て、触って、試食してもらう・・・etc. 予めしっかりと準備をして臨めば、その場で対面で商談ができるため迅速で精度の高い商談につながります。 単独出展では費用対効果が・・・とご心配な場合は、同業社組合や自治体、ジェトロなどが募集する「ジャパンブース」などの共同出展形式に参加されることをお勧めします。